株式会社ノイズ研究所

規格情報 IEC 61000-4-4 ファスト・トランジェント/バースト(EFT/B)試験について

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ファスト・トランジェント/バースト(以下:EFT/B)は、誘導性負荷の開閉時に発生する逆起電力や、リレーのチャタリング等によって生じる繰返し発生する高周波のノイズです。このノイズが電源線を伝って他の電子機器に侵入し、または近接した信号線等に対して誘導して侵入することで、その電子機器が誤動作や故障をしてしまうことがあります。EFT/B試験は、スイッチングデバイスの接点間の放電、電子モーターから発生するアーク放電などによる立ち上がりの早い高周波ノイズを模擬的に発生し、電子機器のノイズ耐性を評価する試験です。

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【 IEC 61000-4-4 Ed.3 2012 の試験概要 】

1.一般的事項

この規格は、誘導性負荷機器の接点遮断に伴うギャップ放電などによって発生する、繰返しが早いトランジェント妨害にさらされた場合の電気・電子機器のイミュニティを評価するための規格です。

2.試験目的と方法および試験レベル

開回路出力試験電圧及びインパルスの繰り返し周波数

電源ポート、保護接地に対してI/O(入出力)信号データ及び制御ポートに対して
レベル電圧ピーク(kV)繰返し周波数(kHz)電圧ピーク(kV)繰返し周波数(kHz)
10.55 又は1000.255 又は100
215 又は1000.55 又は100
325 又は10015 又は100
445 又は10025 又は100
Xaspecialspecialspecialspecial

a:”x”は他のものよりも上下または間のどのレベルでもよい。このレベルは専用の機器仕様書に規定しなければならない。

3.試験用発生器

EFT/B試験を行う場合、下記の仕様を満たす試験器を使用します。

極性正/負
出力形式同軸。50Ω
直流阻止コンデンサ10nF±20%
繰り返し周波数5kHz および 100kHz
電源との関係非同期
バースト幅5kHz : 15ms ±20% 100kHz : 0.75ms ±20%
バースト周期300ms ±20%
パルス波形(50Ω負荷時)立上り時間:5ns ±1.5ns パルス幅:50ns ±15ns ピーク電圧:下表参照 ±10%
パルス波形(1kΩ負荷時)立上り時間:5ns ±1.5ns パルス幅:50ns ±15ns ピーク電圧:下表参照 ±20%
設定電圧 kVVp(開回路) kVVp(1kΩ) kVVp(50Ω) kV繰返し周波数 kHz
0.250.250.240.1255または100
0.50.50.480.255または100
110.950.55または100
221.915または100
443.825または100
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ファスト・トランジェント/バースト発生器簡略ダイアグラム

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50Ω負荷でのパルス波形の詳細

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1kΩ負荷でのパルス波形の詳細

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50Ω負荷でのパルス波形の詳細とファスト・トランジェント・バーストの全般的な波形

■ AC/DC 電源供給ポート CDN 回路図

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■ 信号線または制御線へ結合させるためのカップリングクランプの構造と寸法

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4.試験のセットアップ

■ 電源供給線への試験方法

 ① 保護用接地に接続されたグラウンドプレーンに本試験器を置き、本体前面のSG端子と標準グラウンド板を接続します。

 ② グラウンドプレーンに10cm厚の絶縁支持物を設置し、その上にEUTを配置します。(グラウンドプレーンから絶縁された状態とします。)

 ③ 本体前面のLINE OUTPUTと供試品を長さ50cmのケーブルで接続、供試品を起動させます。

 ④ バースト電圧値等諸条件を設定し、試験を行います。基本の印加ラインは全相同時(L,N,PE)

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■ 信号線または制御線への試験方法

 ① 保護用接地に接続されたグラウンドプレーンに本試験器を置き、本体前面のSG端子をグラウンドプレーンに接続します。

 ② カップリング・クランプ(オプション)をグラウンドプレーン上に設置し、クランプグラウンド端子とグラウンドプレーンを接続します。

 ③ 本体前面のパルスアウトコネクタをカップリング・クランプのコネクタに接続します。

 ④ カップリング・クランプに試験するケーブルを通します。この時、ケーブルとカップリング・クランプの間の結合容量が最大になるように(ケーブルとカップリング・クランプの間隔が最小になるように)カップリング・クランプ部分を調整します。

 ⑤ カップリング・クランプに感電防止のカバーをかぶせ、バースト電圧値等諸条件を設定し、試験を実行します。

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5.試験手順

試験は技術仕様に規定されるとおり、EUTの性能の検証を含む試験計画に基づいて実施します。

 ・実施する試験のタイプ  ・試験電圧の印加回数

 ・試験レベル  ・EUTの試験ポート

 ・試験電圧の極性(両極性必要)  ・EUTの代表的な動作条件

 ・内部あるいは外部の発生器  ・EUTの試験ポートへの印加順序

 ・試験時間(1分以上)  ・補助機器

6.試験結果と試験報告

試験結果はEUTの仕様および動作条件によって以下の分類を行います。

 1)仕様範囲内の正常な性能(正常)

 2)自己回復が可能な機能または一時的な劣化または機能や性能の低下

 3)オペレーターの介入またはシステムの再起動を必要とする一時的な劣化または機能や性能の低下

 4)機械やソフトウェアの損傷、またはデータの損失による回復不能な劣化や機能の低下

注意:この試験方法はIEC61000-4-4 Ed.3 2012規格を抜粋したものです。詳細な試験方法等につきましては規格書の原文をご参照下さい。

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