株式会社ノイズ研究所

規格情報 ISO 7637-3 Ed.3 2016(過渡電圧結合サージ試験)の概要

NoiseKen

【 ISO 7637-3 Ed.3の試験概要 】

1.一般的事項

この規格は、電源線以外のケーブルに結合する過渡パルスに対する、供試品(DUT)のイミュニティ評価を実施するための試験法について記載しています。

試験パルスは、誘導性負荷の開閉およびリレー接点のバウンスを原因とする高速および低速の過渡妨害を模擬しています。

ただし、この規格で記載されているパルスはあくまで代表的な特性であり、車両内で発生するすべてのパルスを満足するものではありません。

2.試験レベル 

規格で推奨する試験レベルは下記の通りです。

ただし、最終的には車両製造業者と機器製造業者の合意によります。

【12V系機器の推奨試験レベル】

試験パルス結合方法試験レベル試験時間
Ⅰ(最小)Ⅳ(最大)
Fast Pulse 3aCCC法-30V-60V-80V-110V10分
DCC法-30V-60V-80V-110V
Fast Pulse 3bCCC法+18V+37V+60V+75V
DCC法+18V+37V+60V+75V
Slow Pulse +DCC法+8V+15V+23V+30V5分
ICC法+3V+4V+5V+6V
Slow Pulse -DCC法-8V-15V-23V-30V
ICC法-3V-4V-5V-6V

【24V系機器の推奨試験レベル】

試験パルス結合方法試験レベル試験時間
Ⅰ(最小)Ⅳ(最大)
Fast Pulse 3aCCC法-37V-75V-110V-150V10分
DCC法-37V-75V-110V-150V
Fast Pulse 3bCCC法+37V+75V+110V+150V
DCC法+37V+75V+110V+150V
Slow Pulse +DCC法+15V+25V+35V+45V5分
ICC法+4V+6V+8V+10V
Slow Pulse -DCC法-15V-25V-35V-45V
ICC法-4V-6V-8V-10V

3.出力波形

■ 出力波形

【高速過渡パルス Fast Pulse 3a/3b】

スイッチの開閉により発生する過渡パルスを模擬しています。この過渡パルスの特性は、ワイヤーハーネスの分布容量およびインダクタンスによって変化します。

(12V系/24V系共に共通波形)

パラメータ【Fast Pulse 3a】【Fast Pulse 3b】
Us(V)試験レベル参照試験レベル参照
tr(ns)5±1.55±1.5
td(μs)0.15±0.0450.15±0.045
t1(μs)100100
t4(ms)1010
t5(ms)9090
Ri(Ω)5050

 

ISO7637-3Fast Pulse 3aのイメージ

               Fast Pulse 3a

ISO7637-3Fast Pulse 3bのイメージ

               Fast Pulse 3b

【低速過渡パルス Slow Pulse】

ラジエターのファンモータや A/C コンプレッサのクラッチのような、より大きな誘導性負荷の遮断により発生する過渡パルスを模擬しています。

(12V系/24V系共に共通波形)

パラメータ【Slow Pulse +】【Slow Pulse -】
Us(V)試験レベル参照試験レベル参照
tr(μs)1 +0/-0.51 +0/-0.5
td(ms)0.050.05
t1(s)0.2~50.2~5
Ri(Ω)22

 

ISO7637-3Slow Pulse +の波形イメージ

               Slow Pulse +

ISO 7637-3 Ed.3 2016(過渡電圧結合サージ試験)の概要 製品イメージ画像

               Slow Pulse -

4.試験のセットアップと結合方法

■ DUT電源電圧

電源電圧12V系24V系
UA13V ±1 V26V ±2 V

■ 周囲温度

 23℃ ±5℃

■ 試験

 試験は低速過渡パルス(Slow Pulse)および高速過渡パルス(Fast Pulse)それぞれ実施します。各パルスのハーネスに対する結合方法は下記の中から一つずつ選択し適用します。

パルスの種類CCC法DCC法ICC法
低速過渡パルス Slow Pulse適用不可適用可適用可
高速過渡パルス Fast Pulse適用可適用可適用不可

 ・グラウンドプレーン:銅または真鍮および亜鉛鋼の金属板で最低0.5mm厚。サイズは2×1m以上。

 ・DUTおよびハーネスは、厚さ50mm±5mmの絶縁支持体の上に置き絶縁します。

 ・DUTは据付仕様に従ってグラウンドプレーンに接続します。

 ・可能な限り全ての負荷、センサ等はできる限り短いリード線を使用してグラウンドプレーンに接続します。

■ 結合方法

【容量性結合クランプ法(CCC法)】

容量性結合クランプ法(CCC 法)は、高速過渡パルス(Fast Pulse)をハーネスに印加するための手法です。

容量性結合クランプを使用するため、リード線の多い供試品(DUT)を試験するのに有効となります。

<CCCの特性>

 ・クランプ、ケーブル間の結合キャパシタンス 約100pF

 ・パルス絶縁耐圧:200V以上

 ・インピーダンス:50Ω (クランプ内にハーネスが無い場合)

ISO 7637-3 Ed.3 2016(過渡電圧結合サージ試験)の概要 製品イメージ画像

【直接コンデンサ結合法(DCC法)】

直接コンデンサ結合法(DCC 法)は、高速過渡パルス(Fast Pulse)および低速過渡パルス(Slow Pulse)をハーネスに印加するための手法です。

印加するパルスに合わせて推奨容量のコンデンサを使用し、供試品(DUT)の線に対して直接パルスを結合します。

<DCCコンデンサの特性>

試験パルスコンデンサ容量
高速過渡パルス(Fast Pulse)100pF
低速過渡パルス(Slow Pulse)0.1μF

最大印加電圧の少なくとも2倍の耐電圧をもつ、非極性コンデンサで、容量の許容差は±10%です。

ISO 7637-3 Ed.3 2016(過渡電圧結合サージ試験)の概要 製品イメージ画像

【誘導性結合クランプ法(ICC法)】

誘導性結合クランプ法(ICC 法)は、低速過渡パルス(Slow Pulse)をハーネスに印加するための手法です。

誘導性結合クランプを使用するため、リード線の多い供試品(DUT)を試験するのに有効となります。

<ICC結合パルスの特性>

パラメータ12V系24V系
td(μs)7 ±30%7 ±30%
tr(μs)≦1.2≦1.2

電流インジェクションプローブ校正時において上記特性を満たす必要があります。

ISO 7637-3 Ed.3 2016(過渡電圧結合サージ試験)の概要 製品イメージ画像

注意:この試験概要は、ISO7637-3 Ed.3 2016規格を元に記載しております。詳細な試験方法等につきましては規格書の原文をご確認ください。

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