活用事例 医療機器に対する6GHzを超える近接照射イミュニティ試験のご提案
1. 概要
ラジオやテレビ放送、携帯電話などに必要とする電波は、他の電気・電子機器にとってはノイズとなり、誤動作などの影響を与える可能性があります。
これら電磁波による影響を評価するためのEMC試験としては、国際規格で定められたIEC 61000-4-3やISO 11452-2などで規定された、放射イミュニティ試験があります。
放射イミュニティ試験は、EUT(試験対象機器)から一定の距離(3mなど)に試験用アンテナを配置し、意図的に電波(電磁波)を発生させてEUTの電磁波に対しての影響を調査する試験です。
この試験方法は、医療機器向けのEMC規格であるIEC 60601-1-2やJIS T 0601-1-2にも採用され、試験が実施されています。
一方で、近年では携帯電話端末やスマトフォン、PHS端末、ワイヤレスカード(非接触ICカード)システム、電子商品監視(EAS)機器、RFID機器(電子タグ読取り機)、無線LAN機器などを代表とする、無線機器が発展をし、無線機器が電波を発信した状態で他の電気・電子機器に近接した際の影響を評価するための試験として、近接イミュニティ試験法が規定され、国際規格ではIEC 61000-4-39やISO 11452-9などで規定されています。
総務省が公開している「電波の医療機器等への影響の調査研究」(※1)では、医療機器等がより実際の環境に近い状況下で評価を行うため、試験用アンテナ((実機・アンテナ問わず)をEUTに近づけて評価(EMC試験)を実施しています。
また、NTTドコモテクニカル・ジャーナルの「医療機関における医療機器への電磁障害影響調査」(※2)でも、同様にアンテナを近接させた評価(EMC試験)が行われています。


これらの調査研究で用いられた評価手法は、IEC 60601-1-2やJIS T 0601-1-2の試験方法とは異なり、試験用アンテナをEUTに近づける点で、IEC 61000-4-39やISO 11452-9に近い試験方法となります。
さらに、近年は無線LAN技術の進化により6GHz帯の無線機器が増加しているため、6GHz帯の試験の必要性も高まっています。
ノイズ研究所では、6GHz以上の周波数にも対応した近接照射試験用アンテナや試験システムを提供可能です。
医療機器のEMC(電磁両立性)を確保するために、より実際に即した影響調査やリスクマネジメントの一助として活用が期待されます。
2.近接照射イミュニティ用アンテナ&試験システム
ノイズ研究所では、近接照射イミュニティ試験の用途として、IEC 61000-4-39規格に準拠したTEMホーンアンテナ、およびISO 11452-9規格に準拠した広帯域スリーブアンテナを開発・製造販売をしています。

TEMホーンアンテナ

広帯域スリーブアンテナ

TEMホーンアンテナと広帯域スリーブアンテナの対応周波数
ノイズ研究所のTEMホーンアンテナおよび広帯域スリーブアンテナは700MHz帯~6GHz帯(6425MHz)のイミュニティ試験を実施するのに最適なアンテナです。
近接照射イミュニティ試験は、近接したアンテナから放射される磁界および電界に対して、電子機器の耐性を評価する試験です。
利用するアンテナはTEMホーンアンテナや広帯域スリーブアンテナで、これらのアンテナは広帯域で非常に高効率のため、試験設備として高額になりやすいパワーアンプなどの機器のコストを抑えることができ、比較的容易に 6GHz 帯のイミュニティ試験を実施することができます。
本試験システムは弊社のEMCソリューションセンターに常設していますので、導入検討のお客さまはいつでもデモやお客さまの製品を持ち込んでお試しいただけます。

近接照射イミュニティ試験システムイメージ
(左:TEMホーンアンテナ利用時 右:広帯域スリーブアンテナ利用時)

近接照射イミュニティ試験システムブロック図

近接照射イミュニティ試験システムイメージ
※1 総務省 電波利用ポータル|電波環境|電波の医療機器等への影響の調査研究
※2 https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol31_4/004.html