製品情報 EMC試験の自動化 インパルスノイズ試験編
EMC試験の自動化が高まる背景
EMC試験は試験に対しての知識や経験を持った担当者(専任者)が実施することが多いですが、社会構造の変化などにより「自分が担当として急に試験を実施することになった」こんなご経験はないでしょうか。
● インパルスノイズ試験が分からない
● 試験器の取扱説明書を見たけど設定方法が不安
● 試験時間を少しでも短縮したい
● 実施した試験手順書がドキュメントとして無く、試験方法が分からない
実は弊社にはこのようなお問合せが多いです。
EMC試験は信頼性試験の一つとして「正しい知識を持ち試験を実施」することが重要で、人的リソースが不足している現在では、試験を実施する際のヒューマンエラーの防止、試験コストの削減など、試験に対しての自動化が高まっています。本アプリケーションノートでは、インパルスノイズ試験の自動化についてご紹介します。
インパルスノイズ試験の自動化とは
インパルスノイズ試験は、産業用に用いる電気機器の方形波インパルスノイズイミュニティ試験指針(JEM-TR 177)社団法人日本電気工業会(JEMA)や、工業用に使用される電気制御機器の方形波インパルス・ノイズに対するイミュニティ試験ガイドライン(NECA TR-28)社団法人日本電気制御機器工業会(NECA)においてガイドラインが制定されており、社内規格としても過去より実施しているノイズ耐性評価試験です。試験はガイドラインなどを参考にし、機器の配置・試験方法を定めて試験を実施し、試験終了後には試験を再現するために必要な情報を試験報告書として作成します。
インパルスノイズ試験はノイズを印加するポートにより、電源ノイズ試験(ノーマルモード/コモンモード)・制御信号線ノイズ試験に大別され、試験レベル(試験電圧)・パルス極性(+/-)・パルス幅・印加位相(同期または非同期)など、試験で必要となるパラメータをインパルスノイズ試験器で設定し試験を行います。
マニュアルタイプのインパルスノイズ試験器は、試験器で試験パラメータの設定を行いますが、複雑なケーブル接続など、使いなれていない方は「この接続が正しいか?」不安になり、接続間違いを起こす危険があります。これに対して自動化対応タイプのインパルスノイズ試験器は、複雑なケーブル接続が少なく、試験で必要となるパラメータ設定をリモートコントロールソフトウェアを使うことで試験の自動化が行えます。
マニュアルテスト
リモートコントロールソフトを使うことにより複雑なケーブル接続などを行わず、制御PCで試験レベル(試験電圧)・パルス極性(+/-)・パルス幅・印加位相(同期または非同期)・試験時間など、試験で必要となるパラメータを設定し試験を行うことができます。製品によって異なる試験条件や、要求先別で異なる試験条件などを予め登録しておくことで、ヒューマンエラーの防止や試験コストの削減が行えます。
① 試験レベル(試験電圧)の設定:試験電圧の設定が行え、試験電のスイープ設定も行えます。
② パルス幅の設定:50nsから1000nsまでのパルス幅設定が行えます。
③ 試験時間の設定:秒単位で試験時間の設定が行え、連続動作に✓することで連続試験も行えます。
④ 印加位相の設定:同期設定および非同期設定が行えます。
⑤ 印加相の設定:ノイズを印加する相およびリターン相の設定が行えます。
⑥ EUTへの電圧供給(LINE SWのON/OFF)がリモートコントロールソフトウェアから行えます。
⑦ マニュアルテストでの試験パラメータ設定で設定した条件で試験を行います。
⑧ 試験実施中はWARNINGランプが点滅します。
シーケンステスト
リモートコントロールソフトを使うことによりマニュアルテストで設定した試験条件を組合わせ、シーケンステストとして行うことができ、複雑な試験にも対応が可能です。
⑨ マニュアルテストで設定した試験条件(ここではTest01/Test02/Test03)を組合せ、シーケンステストとして行えます。
試験レポートの作成機能
リモートコントロールソフトウェアは試験を再現するための情報(試験情報・使用した試験器・温湿度などの情報)を入力し、テストレポートとしてExcelに出力することができます。
EUT FAIL信号検出機能
リモートコントロールソフトはNI製デジタルI/Oを使用することにより、最大8種類のEUT FAIL信号を検出し、FAIL信号検出時の動作や判定などが行うことができます。オシロスコープなどを誤動作判定機器として組み入れることにより、誤動作判定の自動化にも対応ができます。