株式会社ノイズ研究所

規格情報 ISO 11452-2 Ed.3 2019(アンテナ照射イミュニティ試験)の概要

NoiseKen

【 ISO 11452-2 Ed.3 2019の試験概要 】

1.一般的事項

この規格は搭載電子機器と接続されたハーネスが強い電磁界に曝された際の耐性を評価する試験です試験は電波暗室内で行い、アンテナより電磁界(80MHz~18GHz)を照射させます。

2.試験レベル

〔推奨される試験の厳しさレベル〕 

レベル電界 (V/m)
25
50
75
100
当事者間による

〔周波数帯域〕

周波数帯域周波数範囲 (MHz)
F180~400
F2400~1000
F31000~10000
F410000~18000

○ 変調

a) 無変調正弦波(CW)

b) 80%(変調指数m=0.8)で1kHzの正弦波による振幅変調(AM)

c) ton=577μs、時間4600μsとしたパルス変調(PM,GSMに類似) 

ISO 11452-2 Ed.3 2019(アンテナ照射イミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

a)CW信号                     b)AM信号                    c)PM信号

次の変調を行うことが望ましい。

変調方式周波数範囲
CW0.01MHz~18GHz
AM0.01MHz~800MHz
PM800MHz~18GHz

3.試験の配置(非シールド電力システム)

○ グラウンドプレーン:

 ・厚さ0.5mm min /幅1000mm min /長さ2000mm min、銅、真鍮または亜鉛メッキ鋼

 ・高さは床の上から900mm±100mm

 ・直流抵抗2.5mΩ以下でシールドルームに接合します。(接地ストラップの取り付け間隔は300mm以下。接地ストラップの長さと幅の比率は7:1)

○ 電源及び疑似電源回路網(AN):

 ・5μH/50Ω(遠隔で接地されたDUTの場合、プラスとマイナスで2個のANを使用。)

 ・ANの測定ポートは50Ω終端。

 ・電源リターンはグラウンドプレーンと接続します。

○ 供試品(DUT):

 ・グラウンドプレーンから50mm±5mmの絶縁物(εr≦1.4)の上に配置します

 ・グラウンドプレーンの先端から200mm±10mmに配置します。

 ・シールドルームなどの壁面から最小1000mm離します。

○ 試験ハーネス:

 ・ワイヤーハーネス長:全長1700 +300 -0 mm以内で、試験ハーネスとして、DUTから1500mm±75mm以上、グラウンドプレーンの端と平行させます。

 ・試験ハーネス高さ:50mm±5mmの絶縁物(εr≦1.4)の上に配置します。

 ・グラウンドプレーンの端から100mm±10mmの距離に置きます。

○ 負荷シミュレータ:

 ・グラウンドプレーンに直接配置するのが望ましいです。(負荷シミュレーターが金属製の場合はケースをグランドプレーンに接続します。)

○ アンテナ:

 ・アンテナ中心の高さはグラウンドプレーンの上100mm±10mmにします。

 ・アンテナ放射素子は床から250mm以上離し、あらゆる吸収材から500mm以上離します。

 ・ワイヤハーネスとアンテナ基準点との距離を1000mm±10mmにします。

  -バイコニカルアンテナの基準点:中間位置

  -ログペリオディックアンテナの基準点:アンテナの先端

  -ホーンアンテナの基準点:開口面 試験周波数1000MHz以上では、アンテナをDUTの正面に配置します。

【非シールド電源システムでのDUTへの試験】

ISO11452-2非シールド電源システムでのDUT への試験イメージ

1:DUT(試験計画において必要とされる場合は近くに接地)

2:試験ハーネス

3:負荷シミュレータ

4:電源(任意の位置)

5:AN(擬似回路網)

6:グラウンドプレーン(シールドルームと接合)

7:低比誘電率サポート(εr≦1.4)

8:アンテナ

9:負荷用モニタ

10:高品質な二重シールド同軸ケーブル(50Ω)

11:隔壁コネクタ

12:RFシグナルジェネレータ及び増幅器

13:電波吸収体

14:接地ストラップ

4.試験の配置(シールド電カシステム)

○ グラウンドプレーン:非シールドと同じなため省略

○ 電源及び疑似電源回路網:

 ・5 μ H/50 Ω AN(DC HVはHV-AN、AC電源はAMN)

 ・電源導線はHV-ANまたはAMNを介して電源(DCHV電源/AC電源)に接続

 ・HV-ANはグラウンドプレーン上にボンディングして直接取り付ける。

 ・HV-AN、AMNの測定ポートは50Ω終端。

 ・車両用HVバッテリを使用することが望ましい

○ 供試品(DUT):

 ・グラウンドプレーンの先端から200mm ± 10mm に配置します。

 ・DUTは規定のインピーダンス、またはケースをグラウンドプレーン上にボンディングして直接取り付ける。

 ・充電器の場合、バッテリ充電器のケースはグラウンドプレーン上にボンディングして直接取り付ける。

○ 試験ハーネス:

 ・LV 線の場合1700 +300/-0 mm、HV 線の場合1700 +300/-0 mmで, グラウンドプレーンの前面に平行なHV試験ハーネスの長さは1500士75mm

 ・ハーネス高さ:50mm ± 5mm の絶縁物の上に配置します。

 ・LV 線はグラウンドプレーンの端から100mm ± 10mm の距離に置きます。

 ・HV 線はLV 線の試験ハーネスより100mm +100/-0mm の距離に置きます。

 ・DUTと電動モータ間が三相線の場合は1000 mm未満。

 ・インバータ/充電器装置はアンテナから最も遠いところに配置

○ 負荷シミュレータ:グラウンドプレーンに直接配置するのが望ましい。

○ アンテナ:非シールドと同じなため省略

【シールド電源システムを備えたDUTへの試験】

ISO 11452-2 Ed.3 2019(アンテナ照射イミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

1:DUT

2:グラウンドプレーン

3:比誘電率が低い支持台 厚さ50mm

4:接地ストラップ

5:LVハーネス

6:HV線(HV+,HV-)

7:LV負荷シミュレータ

8:インピーダンス整合回路網

9:LV AN

10:HV AN

11:LV 電源線

12:HV 電源線

13:LV 電源 12V/24V/48V (グラウンドプレーン上に置く)

14:シールドボックス(必要な場合)

15:HV電源(ALSE内に置く際には遮蔽)

16:電力線フィルタ

17:貫通管

18:バルクヘッドコネクタ

19:モニタリングシステム

20:計器

21:同軸ケーブル

22:光ファイバー

23:アンテナ

24:RF吸収材

25:50Ω負荷

【電動モーターを台に取り付けたシールド電源システムを備えたDUTへの試験】

ISO 11452-2 Ed.3 2019(アンテナ照射イミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

1:DUT

2:グラウンドプレーン

3:比誘電率が低い支持台

4:接地ストラップ

5:LVハーネス

6:HV線(HV+,HV-)

7:LV負荷シミュレータ

8:インピーダンス整合回路網

9:LV AN

10:HV AN

11:LV 電源線

12:HV 電源線

13:LV 電源 

14:シールドボックス(必要な場合)

15:HV電源(ALSE内に置く際には遮蔽)

16:電力線フィルタ

17:貫通管

18:バルクヘッドコネクタ

19:モニタリングシステム

20:計器

21:同軸ケーブル

22:光ファイバー

23:アンテナ

24:RF吸収材

25:電気モーター

26:三相モーター電源線

27:機械的接続

28:フィルタを通された 機械的ベアリング

29:ブレーキまたは推進モーター

30:50Ω負荷

【シールドされた電源システムおよびインバーター/充電器デバイスを備えたDUTへの試験】

ISO 11452-2 Ed.3 2019(アンテナ照射イミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

1:DUT

2:グラウンドプレーン

3:比誘電率が低い支持台

4:接地ストラップ

5:LVハーネス

6:HV線(HV+,HV-)

7:LV負荷シミュレータ

8:インピーダンス整合回路網

9:LV AN

10:HV AN

11:LV 電源線

12:HV 電源線

13:LV 電源 12V/24V/48V

14:シールドボックス(必要な場合)

15:HV電源

16:電力線フィルタ

17:貫通管

18:バルクヘッドコネクタ

19:モニタリングシステム

20:計器

21:同軸ケーブル

22:光ファイバー

23:アンテナ

24:RF吸収材

25:AC商用電源

26:AC商用電源用のAMN

27:AC充電負荷シミュレータ

28:50Ω負荷

29:AC線

5.試験の手順

試験は電界校正を行った後、そこで得られたパラメータを元に進行波電力を基準として用いた代替法にて実施します。

① 電界校正

 ・DUT、ワイヤハーネスおよび周辺装置がついていない状態にします。

・ フィールドプローブはグラウンドプレーンの上(150mm± 10mm)、接地面の前端から(100mm±10mm)離れた位置に配置します。

 ・80MHz~1000MHzの周波数では電界プローブの中心は、ワイヤハーネス位置の縦方向部分(1500mm)の中心と一直線にします。

 ・1000MHz以上の周波数では、電界プローブの中心はDUT位置と一直線にします。

② ワイヤハーネスおよび全ての周辺装置を接続してDUTを試験信号に曝させます。

 ・電界校正時に取得した進行波電力をアンテナへフィードバックして妨害波を照射します。

 ・試験は水平偏波および垂直偏波で、適切な周波数範囲で実施します。

6.試験の報告書

報告書は、試験計画で要求のある設備、補助機器、試験範囲、DUT、周波数、電力レベルなど試験に関連する事項を記載してください。

※計画外の事項があれば併せて記載します。

注意:この試験の概要につきましては、ISO11452-2 Ed.3 2019を抜粋したものです。詳細な測定方法などにつきましては、規格書の原文をご確認ください。

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