株式会社ノイズ研究所

規格情報 ISO 11452-3 Ed.3 2016(TEMセルイミュニティ試験)の概要

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【 ISO 11452-3 Ed.3 2016の試験概要 】

1.一般的事項

この規格は、ワイヤハーネスとの電界結合を有する車両システム、またはワイヤハーネスが僅かにしか曝されない車両システムが、強い電磁界曝された際の耐性を評価する試験です。試験はTEMセルを用いて行い、TEMセル内にて発生する電磁界を試験品に曝させます。(0.01MHz~200MHz)

2.試験レベル

〔推奨される試験の厳しさレベル〕 

周波数範囲 (MHz)Test level Ⅰ (V/m)Test level ⅡTest level ⅢTest level ⅣTest level Ⅴ
0.01~105080150200当事者間による
10~305080150180
30~8060100120180
80~20060100120200
ISO 11452-3 Ed.3 2016(TEMセルイミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

a)CW信号                         b)AM信号

○ 変調

a) 無変調正弦波(CW)

b) 80%(変調指数m=0.8)で1kHzの正弦波による振幅変調(AM)

次の変調を行うことが望ましい。

変調方式周波数範囲
CW0.01MHz~200MHz
AM0.01MHz~200MHz

3.試験装置について

○ TEMセル

 ・50Ωのインピーダンス特性を持つ、平角同軸線で、装置内に均一なTEM電界を発生させ供試品に暴露させます。

 ・セルの大きさにより上限周波数が異なり、0.01~200MHzのTEMセルを使用するのが望ましい。(外側導体間距離600mm)

ISO 11452-3 Ed.3 2016(TEMセルイミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

1:外側導体

2:内部導体

3:アクセスドア

4:コネクタパネル

5:同軸コネクタ

6:供試装置(DUT)

7:低比誘電率サポート(比誘電率εr≦1.4)

8:入出力リード線

○ 試験装置

 ・TEMセル試験装置の一例を下記に記します。

 ・TEMセルの遮断周波数の1.5倍を超える周波数で最低60dBの減衰を持つ広域遮断フィルタを取り付けるのが望ましい(例えば200MHz対応のTEMセルの場合は、300MHzを超える周波数特性を持つ最低60dBの低域フィルタを取り付ける)

  ※ ISO 11452-1で規定する特性のアンプを使用すれば低域フィルタの必要はありません。

ISO 11452-3 Ed.3 2016(TEMセルイミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

4.試験の配置

〔試験装置およびワイヤーハーネスへの結合〕

 ・低比誘電率サポートの高さは、TEMセルの高さの6分の1。(下図参照)
 ・供試装置をそのワイヤハーネスまたはプリント配線基板は試験倍にTEMセル内の同じ位置に配置します。

 ・TEMセルにはコネクタパネルを取り付け、できるだけプリントリード線系統の近くに配置する。

 ・TEMセル壁面のコネクタからの電源線および信号線は供試装置をTEMセル許容動作範囲内に配置するのに適切な長さのプリント配線基板または、堅固な支持体に固定するためのリード線セットを用いて供試装置に直結する。(試験結果の再現性向上のため)

ISO 11452-3 Ed.3 2016(TEMセルイミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

1:供試装置

2:低比誘電率サポート(比誘電率εr≦1.4)

3:シールドされていない、プリント基板配線またはワイヤハーネス

4:コネクタ

5:同軸コネクタ

6:コネクタパネル

7:TEMセル壁

8:ケーブル 

9:セプタム(隔壁)

b:TEMセルの高さ 

〔試験装置だけの結合〕

 ・低比誘電率サポートの高さは、TEMセルの高さの6分の1。(下図参照)
 ・供試装置はTEMセル内の同じ位置に配置します。(試験結果の再現性向上のため)

 ・電源線および信号線はTEMセルの床の固定し、TEMセル壁のコネクタから供試装置の間でシールドします。
  (導電性金属テープなどで、TEMセル床に配したケーブルをシールドします。)

ISO 11452-3 Ed.3 2016(TEMセルイミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

1:供試装置

2:低比誘電率サポート(比誘電率εr≦1.4)

3:シールドワイヤハーネス

4:コネクタ

5:同軸コネクタ

6:コネクタパネル

7:TEMセル壁

8:ケーブル

9:セプタム(隔壁) 

b:TEMセルの高さ 

※ 上記、2種類の試験において配線ハーネスの数が膨大でローパスフィルタを使用できない場合は、TEMセルを貫通させて試験を行

 うことができます。ただし、その場合は遮蔽されたシールドルームなどで試験を実施する必要があります。(詳細は省略。)

5.試験の手順

試験は正味または出力電力を測定し、下記の式を使って電界を計算して試験を実施します。(実測法)

ISO 11452-3 Ed.3 2016(TEMセルイミュニティ試験)の概要 製品イメージ画像

E : 電界の値[ V/m (ボルト/メートル)]

Z : TEMセルの特性インピーダンス(通常50Ω)

Pnet : 正味の入力電力(P=Pforward-Preflected)(ワット)

d : 床からTEMセル内のセプタムまでの距離(上図の場合、TEMセル床と9(セプタム)の距離)

または、TEMセル内に電界強度計を設置して、均一電界領域内の電界を測定し、その電力値を元にした置換法の試験にて行います。

・プリント配線基板の導体は、負荷電流を処理するように設計します。

・試験中はTEMセルのドアは閉じておきます。

・未使用のコネクタはシールドし外部に電磁波が漏れないようにします。

・可能な場合は、実際の車両負荷やセンサ、アクチュエーターを使用します。

・供試装置はTEMセル床に接地してはなりません。(実際の車両構成をシミュレートする場合は除く)

6.試験の報告書

報告書は、試験の計画で要求のある試験の設備、補助機器、試験の範囲、DUT、周波数、電力レベルなど試験に関連する

事項を記載してください。

※計画外の事項があれば併せて記載します。

注意:この試験の概要につきましては、ISO11452-3 Ed.3 2016を抜粋したものです。詳細な測定方法などにつきましては、規格書の原文をご確認ください。

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