規格情報 ISO 11452-4 Ed.5 2020(BCI/TWCイミュニティ試験)の試験概要
【 ISO 11452-4 Ed.5 2020の試験概要 】
1.一般的事項
この規格は、車両搭載電子機器に接続されたハーネスに強い磁界ノイズが誘起した際の耐性を評価する試験で、BCI法(置換法と閉ループ法 1MHz~400MHz)とTWC法(400MHz~3GHz)があります。
2.試験レベル
〔BCI法のレベル(例)〕
周波数帯域 (MHz) | レベルⅠ (mA) | レベルⅡ (mA) | レベルⅢ (mA) | レベルⅣ (mA) | レベルⅤ (mA) |
1~3 | 60×F/3 | 100×F/3 | 150×F/3 | 200×F/3 | 当事者間 による |
3~200 | 60 | 100 | 150 | 200 | |
200~400 | 60×200/F | 100×200/F | 150×200/F | 200×200/F |
※F=周波数MHz
〔TWC法のレベル(例)〕
周波数帯域 (MHz) | レベルⅠ (dBm) | レベルⅡ (dBm) | レベルⅢ (dBm) | レベルⅣ (dBm) | レベルⅤ (dBm) |
400~1000 | 15-[10.05×lg(f/400)] | 21-[10.05×lg(f/400)] | 27-[10.05×lg(f/400)] | 33-[10.05×lg(f/400)] | 当事者間 による |
1000~2000 | 11-[9.97×lg(f/1000)] | 17-[9.97×lg(f/1000)] | 23-[9.97×lg(f/1000)] | 29-[9.97×lg(f/1000)] | |
2000~3000 | 8 | 14 | 20 | 26 |
※f=周波数MHz lg=10の対数
BCI法のレベル(例)
TWC法のレベル(例)
〔厳しさレベル(例)〕
厳しさレベル | カテゴリ1 | カテゴリ2 | カテゴリ3 | カテゴリ4 |
L4 | レベルⅣ | ? | ? | ? |
L3 | レベルⅡ | レベルⅣ | ? | ? |
L2 | レベルⅠ | レベルⅢ | レベルⅣ | ? |
L1 | レベルⅠ | レベルⅡ | レベルⅢ | レベルⅣ |
※BCI試験とTWC試験では異なる場合があります。
○ 変調:ISO11452-1参照
3.試験の配置(非シールド電力システム)
〔共通項目〕
○ グラウンドプレーン:
・厚さ0.5mm min / 幅1000mm min / 長さ2000mm min(閉ループ法の場合、長さ1500mm)、銅、真鍮または亜鉛メッキ鋼
・高さは床の上で900mm±100mm
・直流抵抗2.5mΩ以下でシールドルームに接合します。(300mm以下。最長対幅の比は7:1)
○ 電源及び疑似電源回路網(AN):
・5μH/50Ω(遠隔で設置されたDUTの場合、プラスとマイナスで2個のANを使用。)
・ANの測定ポートは50Ω終端。
・電源リターンはグラウンドプレーンと接続します。
○ 供試品(DUT):
・グラウンドプレーンから50mm±5mmの絶縁物(εr≦1.4)の上に配置します
・グラウンドプレーンの先端から100mmに配置します。
・シールドルームなどの壁面から最小500mm 離します。
○ 試験ハーネス:
・試験ハーネス長:全長1700mm(+300/-0 mm)以内(閉ループ法の場合、1000mm(+200/-0mm))
・試験ハーネス高さ:50mm±5mmの絶縁物(εr≦1.4)の上に配置します。
・グラウンドプレーンの端から200mmに平行に配置します。
・他とは100mm離す。
○ 負荷シミュレータ:
・グラウンドプレーンに直接配置するのが望ましいです。(負荷シミュレーターが金属製の場合はグラウンドプレーン上に直接配置します。)
〔置換法〕
○ インジェクションプローブ:DUTコネクタから150mm±50mmまたは450mm±50mm、750mm±50mmに設置します。
※電流測定プローブを使用する場合、DUTコネクタから50mm±10mmに設置します。
〔閉ループ法〕
○ インジェクションプローブ:DUTコネクタから900mm±10mmに設置します。
※電流測定プローブは、供試品(DUT)コネクタから50mm±10mmに設置します。
〔TWC法〕
○ 管状波結合器:DUTから100mm±10mmに設置かつグラウンドプレーンの先端から離します。
○ 50Ω負荷抵抗器:グラウンドプレーンから絶縁し、ワイヤーハーネスから200mm以上離して設置します。
【BCI法-置換法-】
d:DUTのコネクタからの距離dに設置される。
- d=(150±10)mm
- d=(450±10)mm
- d=(750±10)mm
1:DUT(試験計画において必要とされるなら、接地される)
2:試験ハーネス
3:負荷シミュレータ
4:負荷用モニタ
5:電源
6:AN(擬似回路網)
7:光ファイバ
8:高周波装置
10:インジェクションプローブ
11:接地面(シールドルームに接続)
12:低比誘電率サポート(εr≦1.4)
13:シールドルーム
【BCI法-閉ループ法-】
1:DUT(試験計画で規定されていれば、接地する)
2:ワイヤハーネス
3:負荷シミュレータ
4:負荷用モニタ
5:電源
6:AN(擬似回路網)
7:光ファイバ
8:高周波装置
9:50Ω終端
10:管状波結合器
11:接地面(シールドルームに接続)
12:低比誘電率サポート(εr≦1.4)
13:シールドルーム
【TWC法】
1:DUT(試験計画において必要とされるなら、接地される)
2:試験ハーネス
3:負荷シミュレータ
4:負荷用モニタ
5:電源
6:AN(擬似回路網)
7:光ファイバ
8:高周波装置
9:モニタプローブ
10:インジェクションプローブ
11:接地面(シールドルームに接続)
12:低比誘電率サポート(εr≦1.4)
13:シールドルーム
4.試験の配置(シールド電カシステム)
○ グラウンドプレーン:非シールドと同じなため省略
○ 電源及び疑似電源回路網:
・5 μ H/50 Ω AN(DC HVはHV-AN、AC電源はAMN)
・電源導線はHV-ANまたはAMNを介して電源(DCHV電源/AC電源)に接続
・HV-ANはグラウンドプレーン上にボンディングして直接取り付ける。
・HV-AN、AMNの測定ポートは50Ω終端。
・車両用HVバッテリを使用することが望ましい
○ 供試品(DUT):
・グラウンドプレーンの先端から100mm に配置します。
・シールドルームなどの壁面から最小500mm離します。
・DUTは規定のインピーダンス、またはケースをグラウンドプレーン上にボンディングして直接取り付ける。
・充電器の場合、バッテリ充電器のケースはグラウンドプレーン上にボンディングして直接取り付ける。
○ 試験ハーネス:
・LV 線の場合1700mm (+300/-0 mm)(閉ループ法の場合、1000mm(+200/-0mm))、HV 線の場合1700mm (+300/-0 mm)(閉ループ法の場合、1000mm(+200/-0mm))
・ワイヤーハーネスはDUTから最小1400mm離してできるだけ真っ直ぐにする(閉ループ法の場合、1000mm(+200/-0mm))
・ハーネス高さ:50mm ± 5mm の絶縁物の上に配置します。
・LV 線はグラウンドプレーンの端から100mm ± 10mm の距離に置きます。
・HV 線はLV 線の試験ハーネスより100mm +100/-0mm の距離に置きます。
・DUTと電動モータ間が三相線の場合は1000 mm未満。
○ 負荷シミュレータ:
・グラウンドプレーンに直接配置するのが望ましいです。(負荷シミュレーターが金属製の場合はグラウンドプレーン上に直接配置します。)
〔置換法〕〔閉ループ法〕〔TWC法〕 :非シールドの試験配置と同じのため省略
【シールドされた電源システムを備えたDUTのラインへの注入】
1:DUT
2:グラウンドプレーン
3:低比誘電率サポート
4:グラウンドストラップ
5:低電圧ハーネス
6:高電庄ライン(HV+, HV-)
7:低電圧負荷シミュレータ
8:インピーダンス整合網
9:AN(擬似回路網)
10:HV-AN(高電庄擬似回路網)
11:低電圧電源ライン
12:高電圧電源ライン
13:低電圧電源12V/24V/48V
14:シールドボックス(必要な場合)
15:高電圧電源
16:電源ラインフィルタ
17:貫通管
18:隔壁コネクタ
19:モニタリングシステム
20:インジェクションプローブ
21:高周波装置
22:光ファイバ
23:50Ω終端抵抗
24:モニタープロープ
25:管状波結合器
【電気モーターをテストベンチに取り付けた、シールドされた電源システムを備えたDUTのラインへの注入】
1:DUT
2:グラウンドプレーン
3:低比誘電率サポート
(εr≦1.4)厚さ50mm
4:グラウンドストラップ
5:低電圧ハーネス
6:高電庄ライン(HV+, HV-)
7:低電圧負荷シミュレータ
8:インピーダンス整合網
9:AN(擬似回路網)
10:HV-AN(高電庄擬似回路網)
11:低電圧電源ライン
12:高電圧電源ライン
13:低電圧電源12V/24V/48V
14:シールドボックス(必要な場合)
15:高電圧電源
16:電源ラインフィルタ
17:貫通管
18:隔壁コネクタ
19:モニタリングシステム
20:インジェクションプローブ
21:高周波装置
22:光ファイバ
23:50Ω終端抵抗
24:電気モータ
25:三層モータ電源ライン
26:機械的接続
27:フィルタ処理済み 機械的ベアリング
28:プレーキまたは推進モータ
29:モニタープロープ
30:管状波結合器
【電気モーターをテストベンチに取り付けた、シールドされた電源システムを備えたDUTのモータラインへの注入】
1:DUT
2:グラウンドプレーン
3:低比誘電率サポート
4:グラウンドストラップ
5:低電圧ハーネス
6:高電庄ライン(HV+, HV-)
7:低電圧負荷シミュレータ
8:インピーダンス整合網
9:AN(擬似回路網)
10:HV-AN(高電庄擬似回路網)
11:低電圧電源ライン
12:高電圧電源ライン
13:低電圧電源12V/24V/48V
14:シールドボックス(必要な場合)
15:高電圧電源
16:電源ラインフィルタ
17:貫通管
18:隔壁コネクタ
19:モニタリングシステム
20:インジェクションプローブ
21:高周波装置
22:光ファイバ
23:50Ω終端抵抗
24:電気モータ
25:三層モータ電源ライン
26:機械的接続
27:フィルタ処理済み 機械的ベアリング
28:プレーキ又は推進モータ
29:モニタープロープ
30:管状波結合器
【シールドされた電源システムおよびインバーター/充電器デバイスを備えたDUTのラインへの注入】
1:DUT
2:グラウンドプレーン
3:低比誘電率サポート
4:グラウンドストラップ
5:低電圧ハーネス
6:高電庄ライン(HV+, HV-)
7:低電圧負荷シミュレータ
8:インピーダンス整合網
9:AN(擬似回路網)
10:HV-AN(高電庄擬似回路網)
11:低電圧電源ライン
12:高電圧電源ライン
13:低電圧電源12V/24V/48V
14:シールドボックス(必要な場合)
15:高電圧電源
16:電源ラインフィルタ
17:貫通管
18:隔壁コネクタ
19:モニタリングシステム
20:インジェクションプローブ
21:高周波装置
22:光ファイバ
23:50Ω終端抵抗
24:交流ライン
25:AMN(交流用疑似回路網)
26:負荷シミュレーター(交流用)
27:交流電源
29:モニタープロープ
30:管状波結合器
5.試験の手順
各試験法は、電流の校正を行った後にDUTの試験を実施します。
〔BCI-置換法-〕
① 非シールド/シールドの其々に対応した試験配置図を参考にDUT、ハーネスおよびその他の付属品を設置します。
② 試験の計画に沿ったレベルの信号をDUTに注入します。
③ 複数のハーネスがある場合は、そのハーネスごとに試験します。
※電流測定プローブの使用は任意です。
〔BCI-閉ループ法-〕
① 非シールド/シールドの其々に対応した試験配置図を参考にDUT、ハーネスおよびその他の付属品を設置します。
② 各周波数で用いられる手順は下記のとおりです。
次の条件のいずれかに達するまで、電流インジェクションプローブに注入される電力を増幅させ、注入した電流値を測定します。
a.測定した電流が、試験レベルに達する 。
b.試験レベル校正時の進行波電力が4倍に達する。
〔TWC法〕
① 非シールド/シールドの其々に対応した試験配置図を参考にDUT、ハーネスおよびその他の付属品を設置します。
② 試験の計画に沿ったレベルの信号をDUTに注入します。
6.試験の報告書
報告書は、試験の計画で要求のある設備、補助機器、試験範囲、DUT、周波数、電力レベルなど試験に関連する事項を記載してください。
※計画外の事項があれば併せて記載します。
注意:この試験の概要につきましては、ISO11452-4 Ed.5 2020を抜粋したものです。詳細な測定方法などにつきましては、規格書の原文をご確認ください。